違法建築物件の買取
現状で違法建築の状態となっている物件には、初めから違法建築だったものと、合法だった物件が後の法改正で現行では違法となったものがあります。
当ページでは、違法建築物件の定義、違法建築かどうかを確かめる方法、違法建築物件を売却する方法と注意点などについて解説しています。


解説していきます
東京で45年以上買取事業を中心とした不動産業を経営。一般的には不動産会社に買取を断られるような物件においても高額買取を実施。各分野のプロと提携しているため、買取だけではなく、相続時の権利問題など物件の"困った"を包括的にサポートしています。

違法建築物件とは
違法建築物件とは、建築基準法や都市計画法、消防法、都道府県条例などの法令に違反している建築物のこと。具体的には、建ぺい率・容積率の超過、高さ制限・斜線制限への違反、接道義務違反(再建築不可含む)、建築確認を受けていない無許可の増改築、用途地域制限への違反(例:住居地域に店舗建築)などが見られる建築物を、違法建築物件と言います。
これらの違反は、防災面・安全面などに問題があることに加え、スムーズな売買を妨げるなどの悪影響を及ぼすことがあります。
違法建築物件と既存不適格物件の違い
違法建築物件とは、建築基準法や関連法規などに違反して建てられた建築物のこと。例えば建築確認を受けずに増改築した物件などが、違法建築物件に該当します。
一方で既存不適格物件とは、建築当初は合法だった建物が、その後の法改正により現行法に適合しなくなった物件です。そのまま使用しても違法ではありませんが、増改築や用途変更をする際に制限を受けることがあります。
相続した物件が現行法に合っていない場合、その分類を正確に把握することが大切です。
違法建築か調べる方法
相続した物件の適法性を調べる主な方法、および、各方法の費用の目安を解説します。
建築確認証・検査済証の保存を確認する
建築確認証・検査済証とは、対象物件が建てられた時点で法令に適合していたことを示す重要な書類です。どちらも建築主が保管していることが多いので、相続した際には、速やかにこれら書類の有無を確認しましょう。
建築確認証・検査済証が存在すれば、少なくとも違法建築物件でないことは証明されます。
台帳記載事項証明を確認する
台帳記載事項証明とは、建築確認の内容や検査済証の交付状況などが記載された公的な記録です。台帳記載証明に記録があれば、違法建築物ではありません(既存不適格物件の可能性はあります)。
建物の所在地や建築主の情報を添え、所轄の建築行政庁へ申請すれば、台帳記載事項証明を取得できます。手数料は通常300円です。
目視や図面で状況を確認する
専門家による目視や図面の確認により、違法建築物件であるかどうかを確認できることもあります。上記の書類が確認できず、かつ、過去に増改築を行なったことがある物件の場合、専門家の力を借りることも検討してみましょう。
専門家に調査を依頼した場合、物件の規模や調査対象範囲により、数万円から十数万円の費用がかかります。
登記簿の記述を確認する
登記簿に記載されている建物の構造、床面積、建築年月日などが建物の違法・合法性を確認する手がかりになることもあります。登記簿の内容と現状の物件の状況が一致していない場合、違法増築や未登記の可能性があるでしょう。
登記簿は法務局で取得できます。手数料は1通あたり600円程度です。
違法建築物件を売却する方法
違法建築物件でも売却できます。ただし、相場よりは安くなることが一般的です。主な方法は次の2通りです。
- 更地にして売る
違法建築物件の違法性は建物にあるため、解体して更地にすれば問題は解消します。新築を検討している方にとって更地は魅力的で、買主が見つかる可能性も高くなります。
ただし、更地にするためには高額な解体費用がかかります。また、更地は固定資産税の軽減対象とはならないので、税負担が増える点にも注意が必要です。
- 買取業者に依頼する
違法建築物件を早めに売却したい場合、訳あり物件を積極的に購入してくれる買取業者に売却することができます。訳あり物件の買取業者は、違法建築物件であっても現状のままで買取してくれるため、基本的に売主は修繕費用等のコストを負担する必要はありません。依頼から最短1ヶ月ほどで現金化できることもあります。
複数の買取業者に査定してもらい、より良い条件の業者を選ぶと良いでしょう。
違法建築物件を売却する時の注意点
- 告知義務がある
違法建築物件を売却する際には、買主に対して当該物件が違法建築物件であることを明確に伝える義務があります。告知せず売却した場合、契約不適合責任に基づく損害賠償請求や契約解除請求に発展する恐れがあるのでご注意ください。
- 住宅ローンを利用できない場合が多い
一般に、違法建築物件の購入では住宅ローンを利用できません。そのため買主は、現金で購入できる人や訳あり物件の買取業者などに限定されることとなります。
- 「再建築不可」は注意
再建築不可の土地(接道義務に適合していない土地など)の場合、違法建築物件を解体した後は、新たな建物を建てることができません。建物を建てられない更地の資産価値は低く、売却が困難な場合もあります。解体を検討する場合には、再建築不可の土地でないことを先に確認するようにしましょう。
まとめ 違法建築物件売却のポイント
違法建築物件とは、建築基準法などの法令に違反して建てられた建物のことで、一般的な売却方法では敬遠されがちです。まずは、建築確認書類や台帳記載事項証明などを確認し、物件の法的な状態を正しく把握することが大切です。
売却方法としては、更地にして売却するか、訳あり物件に対応した不動産会社に直接買い取ってもらうのが現実的な選択肢です。特に専門業者による買取であれば、修繕や解体の手間をかけずに早期売却が可能です。
告知義務や再建築の可否など、判断が難しいケースも多いため、「自分の物件はどうすべきか」と感じた方は、まずは専門家に相談することをおすすめします。プロの視点で最適な売却方法を提案してもらうことが、納得のいく結果につながります。