旗竿地の相続放棄
道路に隣接する土地の部分(間口)が細く、奥に大きな敷地が広がっている旗竿地。ここでは、旗竿地を相続するリスクのほか、相続放棄する場合の流れや注意点をご紹介します。
旗竿地とは

旗竿地は、道路に隣接する間口から奥に向かって細長い敷地が伸びる一方、奥に大きな敷地がある土地をいいます。旗と竿を組み合わせた形状に見えることから旗竿地と呼ばれています。
旗竿地は、建築基準法の接道義務を満たすために独特の形状をしています。そのため不動産の需要は少なく、固定資産税・相続税の評価額も低くなる傾向があります。
旗竿地相続のリスク
旗竿地を相続する際は、以下のリスクに注意が必要です。
不動産の評価額が高くない
旗竿地は不整形地であるため、不動産の評価額は高くありません。周辺地域の不動産相場と比較して、価値が低くなるのが一般的です。評価額が低い不動産は、固定資産税などの税金を抑えられる反面、想定通りの価格で売却できない可能性があります。
一般の土地と比べて需要が限られる
旗竿地は、四角形に整形された土地と比較して需要が限られます。まとまった土地が奥にあるため、日当たりや風通しが悪いケースも珍しくありません。
また間口が狭いため車両が通りにくく、外構工事費用が高くなる場合もあります。このような理由から需要が少なく、売れるまでに時間がかかる可能性も考えられます。
間口によっては
再建築不可物件になる
旗竿地の間口の広さによっては、建物の建築ができない「再建築不可物件」の可能性もあります。建築基準法では、道路に接する間口の広さは2メートル以上と定義されています(接道義務)。しかし、古くからある旗竿地などでは接道義務を満たしていない場合もあります。
接道義務を満たしていない土地は、住宅などの建物の新築や建て替えができません。相続した旗竿地に住まいを建てる(建て替える)際は、間口の広さを確認することが重要です。
旗竿地を
相続放棄する場合の流れ
諸事情で旗竿地を相続放棄したい時は、下記の流れで手続きを進めましょう。
- 書類を揃え、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する
- 照会書が届くのを待つ
- 照会書を確認し、必要事項を記入して郵送する
- 家庭裁判所で審査が行われる
- 相続放棄申述受理通知書を受け取る
家庭裁判所に相続放棄申述書を提出後、しばらく経つと照会書が届きます。照会書を返送し、相続放棄申述受理通知書を受け取れば相続放棄が完了します。
旗竿地の相続放棄の注意点
相続放棄は旗竿地を手放す手段の一つですが、リスクも多いため注意が必要です。
- 管理人が見つかるまでは管理義務がある
- 現金・預金などプラスの財産も相続できない
- いかなる理由でも決定を取り消しできない
相続放棄した後も、旗竿地の管理人が見つかるまでは管理義務が生じます。もし事故が起きた場合は責任を問われるため、しばらくは維持管理が求められます。なお、管理義務を逃れる手段もありますが、費用をかけて裁判所で手続きする必要があります。
相続放棄は全財産の相続権を放棄するため、現金などのプラスの財産も相続する権利を失います。ただし、相続放棄の決定は取り消しできません。相続放棄すべきか迷った場合、他の手段も検討したほうがよいでしょう。
相続放棄以外に考えられる
対処法
売却する
旗竿地の取り扱いで迷った際は、不動産の売却をおすすめします。旗竿地は評価額が低いものの、買取に対応している不動産会社もあります。また、買取であればスピーディに現金化できるため、相続人同士で揉める心配もありません。
旗竿地を売却すれば維持管理の負担を減らせるほか、プラスの財産まで放棄する必要がなくなります。相続放棄と比べてリスクが少ないため、まずは売却を検討してみてはいかがでしょうか。
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原田 芳史 氏
賃貸として活用する
駐車場や資材置き場として貸し出す
売却が難しい場合、旗竿地を賃貸として活用する方法もあります。たとえば、駐車場や資材置き場として貸し出すことで、固定資産税などの負担を軽減しながら収益を得ることが可能です。特に、都市部では駐車場の需要が高いため、土地の形状を活かして活用できる可能性があります。
トランクルームや
コンテナ倉庫として貸し出す
トランクルームやコンテナ倉庫として利用する方法もあります。土地に簡易的な倉庫を設置し、収納スペースとして貸し出すことで、賃料収入を得ることができます。
建築条件を満たせば、一戸建てや小規模アパートとして賃貸運用することも可能です。
まとめ:
旗竿地の相続リスクと
対処法のまとめ
旗竿地は不動産評価が低く、売却が難しいため、相続後の活用に困るケースが多く見られます。相続放棄にはプラスの財産も放棄するリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
対処法としては、不動産会社や隣地所有者への売却、駐車場や倉庫としての賃貸活用などが挙げられます。旗竿地の扱いに困った場合は、早めに専門家へ相談し、適切な方法を検討しましょう。
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