不動産だけを相続放棄はできない
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの負債も含め、すべての相続を放棄する手続きです。そのため、「不動産だけを手放したい」という希望は法律上認められません。本記事では、手放したい不動産がある場合の具体的な対処法を解説しています。
東京で40年以上買取事業を中心とした不動産業を経営。一般的には不動産会社に買取を断られるような物件においても高額買取を実施。各分野のプロと提携しているため、買取だけではなく、相続時の権利問題など物件の"困った"を包括的にサポートしています。
不動産「だけ」を相続放棄は
できない
相続放棄は「すべての財産」を
放棄する手続き
相続放棄とは、民法上「初めから相続人にならなかったもの」とみなされる制度のこと。相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述することで手続きが完了します。
この制度の大前提として、「相続する財産を個別に選ぶことはできない」という点が重要です。借金などのマイナスの負債はもちろん、土地や建物、預貯金、株式といったプラスの資産も、すべてをまとめて手放す必要がある点にご注意ください。
預貯金や貴金属など、プラスの財産も同時に失うリスク
相続放棄において、「不動産はいらないが、現金は受け取りたい」という希望は実現できません。そのため、不動産を手放すために相続放棄を選べば、現金や預貯金、有価証券、貴金属といったプラスの財産もすべて失うことになります。
ここで注意が必要なのが「単純承認」です。続放棄の手続き前に一部の財産を処分したり受領したりすると、法律上「すべての相続を承認した」とみなされ、不動産も含めた一切を相続放棄できなくなる点に注意しましょう。
一部だけの放棄が認められない
法的な理由
民法では、「相続人は相続開始のときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定められています(民法第896条)。これを「包括承継の原則」といいます。
この原則の背景にある考え方が債権者保護。相続人が都合のよい財産だけを受け継げるようになれば、被相続人に債権を持つ第三者が著しく不利益を受けるおそれがあるため、これを防ぐ目的で、相続人は「すべて受け継ぐ」か「すべて放棄する」かという二択を迫られる形となります。
相続放棄しても残る
「土地の管理責任」
【2023年改正】「管理義務」から「保存義務」への変更点
2023年の改正民法第239条の2により、相続放棄した不動産の管理責任を負う者は「相続放棄時にその財産を現に占有(実質的に支配)していた人」に限定されることとなりました。改正前に比べ、相続放棄後の管理責任は緩和された形です。
具体的には、放棄した不動産に実際に居住していたり、鍵を管理するなど実質的に支配していたりする場合には、当該不動産の「保存義務」が継続。見方を変えれば、まったく自分が関与していない不動産であれば、相続放棄後の管理責任を問われない可能性もあります。
相続放棄後の「保存義務」は
いつまで続く?
相続放棄後に保存義務が生じた場合、原則としてその義務は、次順位の相続人が管理を引き継ぐまで継続します。もし、他に相続人がいない場合、あるいは相続人全員が相続放棄をした場合には、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任するまで保存義務が継続します。
仮に相続財産清算人を立てることとなった場合、その選任に要する期間は数ヶ月。この間、相続放棄した相続人が保存義務を負うことになります。
放置して近隣トラブルが起きた際の損害賠償リスク
保存義務が残った状態のまま不動産を放置した場合、近隣への被害が生じた際に損害賠償を請求されるリスクがあります。塀の倒壊や立ち木の越境といった工作物責任がその典型例です。また、管理不全によって火災や不法投棄、害虫、害獣が発生した場合、行政指導の対象になるリスクもあります。
「放棄したから関係ない」と考えて放置していると、後々大きなトラブルに発展するおそれがある点に注意しましょう。
「いらない不動産だけ」を
手放す4つの方法
1.【新制度】相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
相続した不要な土地を手放す方法のひとつとして、2023年4月にスタートした「相続土地国庫帰属制度」があります。一定の要件のもと、相続で取得した土地を国に引き取ってもらえる制度です。
ただし、制度を利用するための要件をクリアすることは、決して簡単ではありません。たとえば建物が残っている土地は対象外のため、事前に解体して更地にする必要があります。あるいは、境界が不明確な土地、担保権や使用収益権が設定されている土地も制度の対象外となります。
要件を満たしたうえで手続きを行う場合、法務局への申請費用に加え、10年分の管理費相当額として計算された「負担金」(原則20万円〜)の支払いが必須。更地化のための解体費用も含めると、制度利用の総コストは決して小さくありません。
2.専門の買取業者に
「負動産」として売却する
相続不動産を手放すもうひとつの有効な手段が、専門業者による買取です。通常の仲介では買い手がつきにくい「ボロ家」「再建築不可」「接道なし」といった物件でも、訳あり不動産の買取を専門とする業者であれば現金化できる可能性があります。特に、訳あり物件の再生・活用のノウハウを持っている業者であれば、一般市場では評価されにくい物件でも独自の視点で価値を見出すことができます。
もとより、相続放棄を選んだ際に発生する相続財産清算人への予納金(数十万円〜)と比較しても、買取による現金化のほうが経済的には合理的。煩雑な手続きの手間を省きながら現金を得られる点も、買取の優位性となるでしょう。
3.自治体や隣地所有者への寄付・
譲渡を打診する
不動産を自治体へ寄付するという方法もありますが、現実として、公用目的(道路・公園など)に活用できると自治体が判断しない限り、寄付を断られるケースがほとんどです。
一方で、隣地の所有者への無償譲渡は比較的実現しやすい選択肢。「測量費や登記費用はこちらが負担する」という条件を提示すれば、比較的スムーズに合意を得られることもあります。コスト負担なしで土地を広げられることに対し、メリットを感じる隣地所有者は少なくないでしょう。
4.「限定承認」という選択肢と
その実効性
限定承認とは、「相続で得たプラスの財産の範囲内でマイナスの財産(借金など)を清算する手続き」を言います。ローンが残る不動産などについて、売却・現金化の上でプラスの財産の範囲でのみローンを負担することができます。
不要な不動産を手放すことができる有効な方法のひとつですが、実際にこの制度を利用には高いハードルがあると言わざるを得ません。たとえば、手続きには相続人全員の合意が必要なため、一人でも反対すれば限定承認は不成立。また、手続きが複雑で弁護士などの専門家への依頼が事実上必須なるため、コスト面も含めて慎重に検討する必要があります。
あなたの物件に最適な処分方法はどれ?
基本的な視点としては、もし相続した不動産が市街地の宅地なら「買取」、境界が明確な更地なら「国庫帰属制度」、負債が多い場合は「相続放棄」が候補になります。ただし、物件の種類(市街地宅地・山林・原野・農地)や権利状況、他の遺産の有無によって適切な処分方法は異なるため、まずは専門家に相談してみることが相続不動産の処分に向けた第一歩です。
翔栄では、他社に売却仲介を断られた物件や値がつかなかった物件でも、前向きに買取対応しています。弁護士など専門家と連携しつつ、物件の状況に合った適切な処分方法を提案しています。相続不動産の処遇にお困りの方は、ぜひ一度、相談してみてはいかがでしょうか。
原田 芳史 氏
翔栄なら
「処分に困る不動産」を
現状のまま買い取れます
訳あり物件を蘇らせてきた
再生ノウハウと45年以上の実績
東京で創業して45年以上にわたり、翔栄は買取を中心とした不動産業を展開してきました。多くの事例から得た豊富なノウハウがあるからこそ、管理不全物件や既存不適格物件、接道なし物件など、他社や大手仲介業者が断るような案件でも積極的に買取することが可能です。
相続した不動産の処分方法に悩んでいる方、どこに相談しても断られたという方は、ぜひ気軽にご相談ください。
契約不適合責任を「完全免責」!
売却後のトラブル不安を解消
古い建物や地中埋設物などがある土地など、何らかの瑕疵が潜在している可能性のある不動産の場合、売却成立後にその瑕疵が明らかになれば、売主は事後的に責任を問われる可能性がありますが(契約不適合責任)、翔栄では、売主が契約不適合責任を一切負わない条件での買取契約を標準化しています。
建物の状態や地歴に不安がある物件でも、売却後のトラブルを懸念することなく不動産を手放すことが可能です。
弁護士・税理士と連携した
安心のワンストップサポート
弁護士や税理士など、様々な分野の専門家とのネットワークを構築している点も翔栄の強みのひとつ。相続が絡む不動産の処分では、権利関係の整理や相続登記、税金対策など、「売買手続きだけ」では解決できない問題が多々ありますが、複数の専門家とのネットワークがある翔栄なら、ひとつの窓口のみでスムーズに相続不動産の売却が可能です。
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相続放棄したいときの対処法
建築基準法の接道義務を満たしておらず、建物を建て替えることができません。 接道幅が2m未満、建築基準法上の道路に接していない不動産が該当し、昭和25年の建築基準法制定以前に立てられた物件に多く見られます。
1つの不動産を複数人が共有している場合において、各共有者が持つ共有権の割合のこと。自分の持分を自由に処分できますが、共有物全体の処分には他の共有者全員の同意が必要です。
借地権は、住宅や店舗などを建てることを目的として、地主から土地を借り受ける権利。底地権は地主の土地所有権利と、貸し出すことで地代を得る権利を併せた権利を指します。
明確な基準はないものの、築数十年が経過した物件を指します。設備の古さから、周辺の競合物件よりも空室リスクが高めです。物件の状態・立地によっては収益性も低い傾向にあります。
築年数が30年ほど経っている古い建物をいいます。築古物件は住宅性能が低く、設備も古くなっていることも珍しくありません。築浅物件と比べ、維持管理費用が高額になる可能性があります。
主に老朽化で建て替えが必要だったり、諸事情で取り壊しが求められたりする物件が該当します。正当な理由なく強制的に立ち退きさせることはできませんので、賃借人とじっくり話し合う必要があります。
道路に隣接する間口から奥に向かって細長い敷地が伸びる一方、奥に大きな敷地がある土地をいいます。不動産の需要は少なく、固定資産税・相続税の評価額も低くなる傾向があります。
少子高齢化が進んでいる日本では空き家が問題になっており、今後さらに増加すると考えられています。相続によるデメリットも多いため、取り扱いには慎重な判断が求められます。
定義はあいまいですが事故や事件、自殺や孤独死など何らかの原因で住民が死亡し、心理的瑕疵があると判断された物件のことです。購入者や入居者への告知義務があるため、通常の不動産と比べて売買契約が複雑です。
リゾートマンションを相続すると、維持費や税金の負担に加え、利用予定がなくても管理責任を負うことになるなど、さまざまなリスクが伴います。老朽化や、空室、賃料下落などの事態が重なれば、もはや不動産ではなく負動産にもなりかねません。リスクや負担を抑えるためには、相続放棄を含めた早期対応が大切です。