名義変更していない土地の相続放棄
何代にもわたって名義変更を放置したままの土地の相続放棄は可能なのかについて解説。また、土地を名義変更しないまま放置することのリスク、名義変更せずに相続放棄を進める方法についても説明します。
名義変更していない土地の
相続放棄は可能?
土地の名義が変更されずに先祖代々受け継がれてきた土地は、必ずしも受け継がなければならないわけではありません。土地の相続自体にメリットがないと考えられる場合は、相続放棄するのも1つの方法です。相続放棄をすれば、名義変更していない土地の相続登記や相続手続きは不要となり、相続しなくてもすみます。
名義変更せずに
相続放棄を進める方法
家庭裁判所に対して相続放棄の手続きをすることによって、名義変更を行わなくても土地の相続放棄を行うことは可能です。以下で相続放棄の流れを簡単に説明していきますので、参考にしてください。
書類集め
相続放棄に必要な書類を集める必要があります。手続きに必要な書類には戸籍謄本や住民票などが必要となりますが、被相続人との関係により揃える書類が変わってくる点に注意が必要です。
相続放棄申述書の作成・申述
続いて、相続放棄申述書の作成を行います。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードするなどして入手し、記入を行います。以下のような項目に記入します。
- 日付(書類の作成日)
- 申述書を提出する家庭裁判所名
- 申述書提出者の氏名、住所、連絡先、押印
- 法定代理人名 ※申述する人が未成年の場合
- 被相続人名
- 相続の開始を知った日
- 相続放棄理由
- 相続財産の概略
必要な項目の記入が完了したら、家庭裁判所に提出します(郵送または持参)。
相続放棄照会書への回答
相続放棄申述書を提出した後に、家庭裁判所から照会書が届く場合があります。その場合には、照会書に記載されている質問に対する回答を記入して返送します。この内容によって相続放棄が認められるかを判断される重要な書類であることから、不備・間違いがないかをよく確認した上で返送が必要となります。
相続放棄完了
相続放棄が承認されると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が交付・郵送されます。この通知書を受け取れば相続放棄の手続きが完了となります。
相続放棄もコストがかかる。買取も一つの選択肢
相続放棄を専門家に依頼する場合、戸籍謄本の取得費用や報酬など、数万円規模の費用がかかります。一方で、相続を選ぶ場合は、相続税の申告・納付期限が「相続開始を知った日から10ヶ月以内」とタイトです。さらに、相続放棄には「3ヶ月以内」という期限もあるため、どちらを選ぶか早めの判断が求められます。
現在、相続放棄に向けて検討中の方は、ひとつの選択肢として専門業者への買取依頼を考えてみてはいかがでしょうか。負の遺産にもなりうる不動産でも、買取を選べば手取りがプラスになる可能性があります。
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原田 芳史 氏
名義変更していない土地を
相続放棄する際の注意点
名義変更されていない土地を相続放棄する場合、通常の相続放棄と同様に家庭裁判所での手続きが必要です。しかし、相続を知ってから3ヶ月以内に申請しなければならないなど、いくつかの注意点があります。
相続を知ってから3ヵ月以内に
相続放棄の手続きが必要
相続放棄は、被相続人が亡くなり相続開始を知った時点から3ヵ月以内に家庭裁判所に必要書類を提出して手続きを行わなければなりません。特別な事情を除いて3ヵ月を経過すると相続放棄ができなくなります。
土地のみの相続放棄はできない
相続放棄は、土地や建物などの不動産、預貯金、借入金など、プラス、マイナスすべての財産の相続を放棄するものです。したがって、預貯金など、土地以外の財産の相続を承認し、土地のみの相続を放棄するといった選択的な放棄はできません。
相続土地国庫帰属制度の活用には
管理費用が必要
相続した土地の管理のみに悩んでいる場合は、相続した土地の所有権を国に帰属させる「相続土地国庫帰属制度」を活用することができます。しかし、この制度の利用には、土地が一定の条件を満たしていることが前提となるほか、認められても国に10年分の管理費用を納めなければなりません。
土地を名義変更しないまま
放置するリスクとは?
土地の名義変更が何代にもわたって放置されている場合、特に、相続が発生した際に名義変更しないと後々の手続きが複雑になり面倒です。また、それ以外にもさまざまなリスクやデメリットが生じることがあります。
- 10万円以下の過料の対象になることがある
- 遺産分割協議、登記申請の手続きが煩雑になる
- 土地の活用や売却ができなくなる
10万円以下の過料の
対象になることがある
法改正により、2024年4月1日以降、相続登記の申請は義務化されています。これにより、遺産分割協議で土地の取得が確定した場合、成立日から3年以内の登記申請が必要です。義務化の施行以前に発生した相続でもこの法律は適用されるため、先祖代々の土地を放置していた場合であっても申請が必須となります。
相続人が多く、所有権の把握が困難なケース、相続人が重病である、など、特別な理由がある場合を除いて、申請を行わない場合には、過料として最大10万円の支払いが課せられる可能性があります。
遺産分割協議、
登記申請の手続きが煩雑になる
何代にもわたって名義変更を放置していた場合、子、孫と相続が発生し続けるため相続の対象となる人数が増加。また、所在確認などにも手間がかかり、相続人全員での遺産分割協議に相当な手間がかかることになります。
例えば、名義人が曾祖父のままである場合、祖父、父、自分まで3回の相続登記が必要となります。また、相続登記の度に該当する相続人すべてについて、遺産分割協議の合意が必要となり、手続きは煩雑です。
土地の活用や売却ができなくなる
名義変更を放置したままでも固定資産税などのコストは毎年かかります。また、土地の名義人でなければ、土地の売却、賃貸活用はできません。さらに、土地の所有権を共有する人が居る場合は、すべての共有者から合意を得なければ持ち分の売却もできなくなります。
まとめ:
名義変更していない
土地の相続放棄とそのリスク
名義変更されていない土地でも、相続放棄の手続きをすれば相続を回避できます。ただし、不動産だけでなく預貯金など全財産を放棄する必要があるため慎重な判断が必要です。
また、2024年4月から相続登記が義務化され、放置すると最大10万円の過料が発生する可能性があります。相続人が増えると手続きが複雑になり、売却や活用も難しくなるため、早めに相続放棄や売却を検討することが重要です。