東京版│"訳あり物件"と呼ばれる不動産を買取してもらうには?
「不動産業者に売却査定依頼したら、買取不可って言われたんだけど…」
「このまま買取してもらえなかったら、どうしたらいいの?」
「訳あり物件らしいんだけど、売れるの?」
とお困りのみなさん。
ここでは、訳あり物件が売れない理由と買い取ってもらう方法をお伝えします。
東京で40年以上買取事業を中心とした不動産業を経営。一般的には不動産会社に買取を断られるような物件においても高額買取を実施。各分野のプロと提携しているため、買取だけではなく、相続時の権利問題など物件の"困った"を包括的にサポートしています。
売れない不動産とその理由
「訳あり」は一般的な不動産では買取後のノウハウがない
通常の不動産市場では、住宅や土地は「住む」「活用する」ことを前提に取引されます。しかし、「訳あり物件」と呼ばれる不動産は、一般的な不動産会社が取り扱うのが難しく、買取後の活用ノウハウを持たないため、敬遠される傾向があります。
例えば、以下のような物件は「訳あり」と判断され、通常の不動産市場では売れにくいことが多いです。
- 再建築不可物件(建築基準法の接道義務を満たしておらず、新しい建物が建てられない)
- 事故物件(過去に自殺・他殺・孤独死などが発生した物件で、心理的瑕疵がある)
- ゴミ屋敷(大量のゴミが残り、通常の住宅として活用が難しい)
- 借地権付き物件(土地が所有権ではなく借地権であり、売却手続きが複雑)
- 老朽化した空き家(修繕費用がかかりすぎるため、買い手が見つかりにくい)
不動産会社が敬遠する理由とは?
需要が限られるため、再販が難しい
訳あり物件は、一般の買主にとって魅力的ではないことが多く、再販売するのが困難です。特に事故物件や再建築不可物件は、購入を避ける人が多いため、通常の不動産市場では長期間売れ残るリスクがあります。
修繕や撤去にコストがかかる
ゴミ屋敷や老朽化した空き家などは、売却するためにまず大掛かりな片付けやリフォームが必要になります。不動産会社としては、買取後に追加のコストがかかるため、買取に消極的になるケースが多いです。
告知義務や契約のトラブルを避けたい
事故物件などの心理的瑕疵がある不動産は、売却時に買主へ説明する義務(告知義務)があります。これを怠ると、後々トラブルになる可能性があるため、一般の不動産会社は慎重に取り扱う傾向があります。
「訳あり」と呼ばれる買取しにくい不動産の種類
物理的瑕疵物件
物理的瑕疵物件とは、建物や土地自体に問題があり、通常の使用や居住に支障が出る不動産を指します。主に、構造的な問題や環境的な問題が原因となります。
- 床の傾きや雨漏りなどがある欠陥住宅
- 老朽化した空き家
- 雨漏り・シロアリ被害
- 地盤沈下・液状化のリスクがある土地(土地の強度不足、過去の地震による影響)
- 土壌汚染・地下埋設物(有害物質が検出された土地、過去に工場や埋め立て地だった土地)
- 浸水・水害のリスクが高いエリアの物件(ハザードマップで危険区域に指定されている土地)
物理的瑕疵があると、建物の修繕や土地改良に高額な費用がかかるため、通常の不動産市場では売却しづらくなります。
心理的瑕疵物件
過去に事件や事故、周辺環境の問題などがあり、購入者や入居者が不安を感じる物件のことを指します。物理的な問題はないものの、心理的要因で価値が下がるケースが多いです。
- 他殺があった物件
- 自殺があった物件
- 火事などの事故死があった物件
- 遺体が人知れず放置されてしまい、特殊清掃や大規模なリフォームを行った物件
- 暴力団事務所や犯罪歴のある建物の近くにある物件
- 墓地・葬儀場・火葬場・刑務所などが近くにある物件
心理的瑕疵物件は、購入者や借主に対して告知義務があります。特に事故物件は、最初の入居者には告知が必要ですが、一定期間が経過すると告知義務がなくなるケースもあります(※地域や契約条件による)。
新宿・渋谷・池袋などの繁華街では、一人暮らしの孤独死や事件が発生し、事故物件になるケースがあります。高級住宅地(港区・目黒区・世田谷区)では、心理的瑕疵があると資産価値が大幅に下がります。
東京都の告知義務ガイドライン
東京都における心理的瑕疵の告知義務に関しては、国土交通省が2021年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が適用されます。
自殺や他殺などの事件・事故が発生した物件は事故発生から3年間は告知義務があります。ただし、事件や事故の影響が大きく、ニュースなどで広く知られている場合や買主・借主から「過去に事故や事件があったか」と質問された場合は3年経過後も告知が求められる可能性があります。
法的瑕疵物件
法的瑕疵物件とは、法律上の問題があり、自由に利用・売却できない不動産のことを指します。物件や土地に法的な制限がかかっているため、建築や売却が難しくなります。
- 再建築不可物件(接道義務を満たしておらず、新しく建物を建てられない土地)
- 借地権付き物件(土地の所有権がなく、第三者に売却できない場合がある)
- 用途制限が厳しい土地(都市計画によって商業施設や住宅が建てられない土地)
- 境界未確定の土地(隣地との境界が不明確で、トラブルの原因になる)
- 建築基準法や条例違反の建物(違法建築・増改築がされている物件)
法的瑕疵がある物件は、通常の不動産市場では買い手がつきにくく、売却時に法的手続きを進める必要があります。
東京には、戦後の都市計画の影響で台東区・墨田区・荒川区などには再建築不可物件が多くみられるエリアがあります。木造長屋や狭小地が多く、接道義務を満たしていない物件が点在している傾向にあるのです。
その他の瑕疵物件
物理的・心理的・法的いずれにも該当しないものの、市場価値が低く売却しにくい物件もあります。
- 旗竿地(間口が狭く、奥まった土地)
- 変形地・狭小地(形がいびつで使い勝手が悪い土地)
- 隣地との関係が悪い物件(通行権や日照権のトラブルがある)
- 空き家で管理が放置されている物件
このような物件も、一般の不動産市場では売却しにくいため、買取業者に相談するなど、別の方法を検討する必要があります。
東京では、過疎化とは無縁と思われがちですが、世田谷区、大田区、足立区など空き家問題が深刻なエリアも存在します※。「空き家対策特別措置法」により、放置すると「特定空き家」に指定され、固定資産税が6倍になる可能性があるので早めの対策が必要です。
物件タイプから探す
訳あり物件の売却法
建築基準法の接道義務を満たしておらず、建物を建て替えることができません。 接道幅が2m未満、建築基準法上の道路に接していない不動産が該当し、昭和25年の建築基準法制定以前に立てられた物件に多く見られます。
1つの不動産を複数人が共有している場合において、各共有者が持つ共有権の割合のこと。自分の持分を自由に処分できますが、共有物全体の処分には他の共有者全員の同意が必要です。
借地権は、住宅や店舗などを建てることを目的として、地主から土地を借り受ける権利。底地権は、地主がその土地を所有している権利と、貸し出すことで地代を得る権利を併せた権利を指します。
明確な基準はないものの、築数十年が経過した物件を指します。設備の古さから、周辺の競合物件よりも空室リスクが高めです。物件の状態・立地によっては収益性も低い傾向にあります。
築年数が30年程度経っている建物をいいます。築古物件は住宅性能が低く、設備も古くなっていることも珍しくありません。築浅物件と比べ、維持管理費用が高額になる可能性があります。
主に老朽化で建て替えが必要だったり、諸事情で取り壊しが求められたりする物件が該当します。正当な理由なく強制的に立ち退きさせることはできませんので、賃借人とじっくり話し合う必要があります。
道路に隣接する間口から奥に向かって細長い敷地が伸びる一方、奥に大きな敷地がある土地をいいます。不動産の需要は少なく、固定資産税・相続税の評価額も低くなる傾向があります。
少子高齢化が進んでいる日本では空き家が問題になっており、今後さらに増加すると考えられています。相続によるデメリットも多いため、取り扱いには慎重な判断が求められます。
定義はあいまいですが事故や事件、自殺や孤独死など何らかの原因で住民が死亡し、心理的瑕疵があると判断された物件のことです。購入者や入居者への告知義務があるため、通常の不動産と比べて売買契約が複雑です。
旧耐震物件は安全性への懸念・不安や維持コストの高さ、税制上の優遇が受けられないなどといったさまざまな理由から売却が難しいとされています。売却するためには「耐震基準適合証明書」を取得したり売却ノウハウを持つ不動産業者に相談するなどの工夫が必要です。
違法建築物件とは、建築基準法や消防法、都市計画法などに違反している物件です。建物を相続した場合、まずは建築確認証・検査済証の有無などを確認し、当該物件の適法性を確かめる必要があります。